ひとりの強い想いと、みんなでやる意味
2023年 04月27日 カテゴリー:考えてること
こんにちは。やまもとです。
今月のブログは「ひとりの強い想いと、みんなでや
る意味」について、思うところがあるので、書いてい
こうと思います。
僕たちの会社は、いま55人が所属する規模で、家具
の小売業として、全国50位くらいの売上規模です。
創業から15年ほどが経ちましたが、売上額について
も、メンバーの数についても、常に右肩上がりで伸
び続けている感じではなく、ばーっと伸びる時期と
いわゆる階段の踊り場の時期とを交互に繰り返しな
がら、少しずつ大きくなってきているという感じです。
BEAMSや、ニトリなど有名企業の
「〇年連続増収・増益」
なんていう会社を見るたびに、
「本当に経営が上手だなぁ。
そして、僕はなんて下手なんだ(泣)」
と、いつも思います。
本当に大きな企業には、能力の高い経営者が多いです。
まぁ下手は下手なりに、過去には会社存続のピンチは
あったものの、今はそれなりに良い経営状況を作れて
いるので、心の端っこでは、ゆるやかには自分自身を
褒めてあげているという感じではあります。
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さて、そんな緩やかな成長を遂げる我が社ですが、
この先の5年で、いまの倍の規模に拡大するという
中長期目標を掲げています。
今が約「メンバー50人・年商25億円」規模ですから、
「メンバー100人・年商50億円」が目標です。
この規模に到達することで、社会への影響力をある
程度出しはじめる事が出来て、また、社内メンバー
への安定した成長報酬や、成長機会を与えていける
のかなと思い、目標にしています。
いまの規模は、ミュージシャンでいうと、小箱は常
に即完のローカルスター的な感じだと思っていて、
ここからメジャーへ変わっていきたいと思っている
イメージです。
「とがりながら、大きくする」
のが難しいのは、音楽も、経営も同じですね。
ミスチルすごいです。
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さて、現在55人ほどのメンバーが在籍する会社です
が、個人的に課題だと思っていることがあります。
それは、
「なんだか会社らしくなってきちゃったなぁ。」
という点です。
創業者ならば、成長の途中に誰もが通る道だと思い
ますが、会社らしくなってきたというのは、つまり
は「社内にあふれる燃えるような情熱」が小さくな
ってしまった様に感じるのです。
会社というものは、創業時には、何も特別なものを
持っていません。
仕組みもなければ、答えもなければ、人もいない。
あるのは、ただ創業者の情熱だけです。
創業者は、少ない仲間たちとともに熱く夢を語り、
アイディアを発想し、自ら手を動かし、目の前の事
に全力で取り組みます。
オンもオフもなく、すべてを情熱的に事業に捧げる。
どの起業家も、おおよそ同じでしょう。
まさに「燃え盛る炎」のようなものです。
この「情熱の炎」は、会社が大きく、成熟するに
したがって、目には見えづらくなりがちです。
会社はメンバーが増えるとともに、創業者がすべて
を掌握する時代を終え、たくさんのメンバーをより
動きやすくすべく、民主的で、どこか大人びながら
安定した航行を求めていくものだと思います。
「成熟とともに、落ち着いていく」のです。
人とおなじかもです。
僕はそれが、絶対的に悪いことだとは思いません。
そうであるからこそ、多くのメンバーは、安心して
働くことができるわけで、逆に、10年以上も経って
いまだに創業者がすべての権限を掌握し続けるのは、
非常に不安定な経営状態ともいえるでしょう。
だから「落ち着きを感じる」ようになり、その逆に
「燃えるような情熱」が見えづらくなるのは、ある
意味では必然です。
ただ、僕が表現する「会社らしくなってきてしまっ
た。」と課題感を感じるのは、落ち着くには早すぎ
ると思っていることから、悪い面も見えるからです。
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僕が「会社らしく」の象徴として感じるのは、メン
バーが「合議制」を重んじる場面が多いことです。
創業時とは異なり、落ち着きを感じる社内では、か
つてよりも、慎重に、ゆるやかに、丁寧に、物事が
進みがちです。
かつては、
「午前中にアイディアを思いついて、午後にはリリース」
というようなスピードで、すこしでも早くサービス
改善を進めていたことも、今では
「午前中に思いついて、翌週に集まって相談、
その翌週にまた集まって会議を何度か重ねて、
さらに翌週にようやく仕様を確定。
リリースは、さらに2週間後」
みたいな場面が多くなりました。
昔の様に、すべての業務を横断的に把握している
メンバーが少なくなったので、どうしても関係各所
に確認が必要というのは分かるのですが、それにし
ても時間がかかります。
起業時の情熱を、いまだに内なる炎として内包して
いる僕としては、このスピード感はもどかしいのです。
「ゆっくり、丁寧に」というのは、大企業の戦略で
すから、小さな企業は、粗くとも素早くやる事以外
に勝ち筋はありません。
その一番の得意技の精度が落ちているのではという
不安を感じるのです。
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また「合議制」というものは、スピード感だけでなく
もうひとつ問題があります。
「ゆるやかで、当たり障りのないアウトプット」に
つながりやすいという点です。
うちの会社のメンバーは、優しいひとが多いです。
僕はやさしい人が好きですし、その点を重視して
10年以上採用活動を進めてきたので、その結果だと
思っています。
最初にヴィジョンがあって、その次に人があって、最後に売上がある。
社内にはやわらかな空気が流れ、インテリアを好きな
コミュニティとしての強さが、会社の強みにも深く
つながっています。
これは、本当に良い点だと思います。
ただ、やさしいコミュニティには弱点があります。
それは、お互いに「Fight」が苦手で、自分の意見を
しっかりと主張できないという弱さです。
例えば、何か良いアイディアを思いついたとしても、
みんなに意見を聞いて、異なる見解が出てくると、
その意見にのまれてしまう。
そんな弱さです。
みんなでひとつの物事を話し合うと、みんなが同じ
意見ということはあり得ず、たくさんの人の、たく
さんの意見が出ます。
自分にはなかった視点をもらえることによって、
新たな気づきがあるのは、とても良いことです
から、ここまでは良いのです。
ただ、その客観的な意見を聞いてしまったために、
その意見を否定しづらい=つまりはその人のことを
傷つけない様に気を使いすぎるあまり、アウトプット
が中途半端なものになってしまうのです。
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例えば、
「真っ赤なおまんじゅうが、売れそう!」
と思いついたとしましょう。
そのアイディアについて、みんなに意見を聞いてみたら、
「なんか、体にわるそう。」
「青もいっしょに作った方が良いのでは?」
「そもそも、おまんじゅうって売れる?」
みたいなさまざまな意見が出て、気のやさしい発案
者は、迷いはじめます。
そして、さまざまな意見を集約した結果、企画その
ものを辞めてしまったり、みんなの意見を混ぜ込んだ
中途半端なものが出来てしまうイメージです。
ターゲットもあやふやになり、誰のこころも動かさ
ないおまんじゅうの出来上がりです。
これが、スピードが遅くなるという点と同じく、
合議制の非常にまずい点です。
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僕は「合議制よりも、ひとりの強い想い」の方が、
成功する確率が高いと思っていますし、その成功
体験を多くしています。
赤いおまんじゅうが売れそうだと思ったならば、
徹底的に赤いおまんじゅうを求めるターゲットを
研究し、赤いおまんじゅうの魅力を研究しつくし、
赤いおまんじゅうのクオリティを高める。
そこまで自分の中で研究しつくしてから、
ようやく、みんなに意見をうかがうのです。
そうしたら、
「体にわるそう。」 = なるほど。悪くないということもメッセージに入れよう。
「青もいっしょに作った方が良いのでは?」 = メッセージ性が弱まるから、それは却下
「そもそも、おまんじゅうって売れる?」 = おまんじゅうは、必ず売れる!
というような、自分自身の芯に照らし合わせながら、
意見を、自分自身の壁打ちの素材として使えるのです。
そして、そのうえで、
「私は、赤いおまんじゅうについて、絶対に売れる
と確信しています! やらせてください!」
という「ひとりの強い想い」を存分に伝えることで
仲間は協力してくれると思うのです。
だからこそ、僕は「合議制」よりも「一人の情熱」
が溢れ出ることが、大切だと思います。
そして「会社らしくなってきてしまった。」という
のは「合議制に甘えるメンバーが増えてきた」と
いうことでもあるのです。
つまりはみんなの意見を伺うことで「わたし1人の責
任じゃないよ」という安心感につながり、誰も責任を
取らないということにつながるのです。
お客様は忖度まみれの中途半端なプロダクトには、
一切心を動かしてくれないのです。
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また、勘違いのおきないように書いておきますと、
「ひとりの強い想い」とは「ひとりでやる」という
こととは全く異なります。
会社というものは、ひとつの目標を達成するために
わざわざみんなで集まっているのです。
つまり「みんなでやることの意味」は強いのです。
それは、
「目的地に早く着きたければ、ひとりで行け。
遠くに行きたければ、みんなで行け。」
という言葉に集約されます。
現代は、SNSやアプリの進化によって、誰もがクリ
エイターになり、稼ぐことも夢じゃない時代です。
昔の様に「この会社に一生お世話になる」という考え
をもつ人は減り、「自分のスキルを高めれば、どこで
も食っていける」という時代というのも、おおよそ
合っていると、僕は思います。
ですから、自分自身のスキルUPについて、昔よりも
関心が一層高まるのは、時代の流れともいえるでしょう。
ただ、自分のスキルだけに重点を置くのは、
僕は、素敵ではないと思います。
「自分だけのために、今後を生きるのか。
まわりの人のために、今後を生きるのか。」
これは、人生の大きな選択です。
僕は、後者でありたいと思っています。
それは、経営というものは、みんなの力を集結させて
こそ、大きな成果を得られるものという事を、10年以
上にわたって強く浴び続る中で、自分自身の考えが変
わってきたのかもしれません。
世間では、Youtuberや、フリーランスなど、自分の
能力をもって、十分に食べていけたり、一時的に大
きな報酬を得ることの話題が多く、それに惹かれる
気持ちも理解できます。
ただ、10年後、20年後のことを考えると、自分のや
りたい様にやることだけが、本当に幸せなのかという
ことも、同時に考えておくべきです。
会社にいて、部下が増えていくと、必然的に自分の
こと以外に時間を割くことが増えます。
時には、自分以外の人に時間を割くのは割の合わない
事柄に思えるでしょう。
ただ「情けは、人の為ならず。」です。
ですから、会社において、ともに働くメンバーが、
たとえ面倒で、言うことを聞かない人であっても、
諦めずに声をかけ、叱り、ともに笑い、ともに成長
することで、より大きな幸せに向かうのが、会社と
いうコミュニティであり、ひいては、自分自身の
大きな成長につながるということです。
僕自身がそうでしたから。
ですから、
「目的地に早く着きたければ、ひとりで行け。
遠くに行きたければ、みんなで行け。」
という言葉は、会社における本質的なものであり、
また、それは人生においても本質的なものだと
僕は思います。
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今回の主題である
・ひとりの強い想い
・みんなでやる意味
の2つの事柄は、一見別々のことを言っているように
見えますが、最終的には同じ場所に帰結します。
つまりは、
「強い想いを持つことこそが、みんなを巻き込み、
より強く大きくなり、たくさんの幸せにつながる。
そして、自分自身の成長にもつながる。」
ということなのです。
ですから、会社というものは「忖度の合議制」の為
にあるものではありません。
ときにFight、ときにOvation、ときにLeadershipを
しながら、互いに真の意味で協力し合い、影響し合う
状態でないといけないのです。
リセノの「ミッション・ビジョン・バリュー」
今後の5年で、僕たちは倍の規模を目指し、社会に
大きな幸せをもたらす会社になることを目標として
います。
ただ、それは数字上の拡張ではなく、メンバーの成長
にも大きく起因・寄与するものだと考えています。
身近なひとはもちろん、より大きな人の幸せにつな
がるように、僕はだれよりも強く、嫌われることを
畏れず、懸命に人に関わり続けようと思います。
それでは、また来月に。