マイナスな退職のない会社へ
2020年 10月31日 カテゴリー:考えてること
こんにちは。やまもとです。
今月のブログは「マイナスな退職のない会社」実現
に向けての決意表明です。
うちの会社でも例にもれず、一定の割合で退職者が
出てしまいます。
結婚・出産・家族の転勤・独立などによるプラス方向
の退職は仕方がないところがありますが、いわゆる
マイナス方向の理由での退職者もやはりあります。
主な理由は
- 業務の大変さ
- 成長が感じられず、外へ成長の機会を探す
- 同僚とうまくいかない
という感じでしょうか。
みんな良い子たちが多いので、辞める際にはあまり
本当のことを言ってくれないのですが、多くの情報
が耳には入るので、おおよそ誤ってないと思います。
ちなみに、今回無くしたい「マイナスな退職」には、
入ってみたら思ったよりも大変だった、もっと自分の
ペースでゆっくり働きたい、なんか合わない......
などの理由の退職は含みません。
それは、会社としても居てもらっても困りますので、
早期に袂と分かつのがお互いのためです。
以前の悪い時期に比べれば、退職者はずいぶんと
少なくなりましたが、それでもやはり小さな会社で
すから、期待を込めて教育をしていたのに辞められ
ると上司の士気も下がりますし、また、1名辞めると
途端に立ち行かなく部署もあるわけで、退職者が
出るとつらいものです。
客観的に「マイナスな理由で辞めてしまう」ことを
無くすためには、
- クレームストレスを減らす(品質を上げる)
- 待遇を改善する
- コミュニケーションを高める
- 物理的距離を取り払う
- 最適な職種への異動も考える
- 会社自体が成長し、経験という報酬を与える
みたいなことなのかなと考えています。
退職は会社だけがつらいものでは無く、個人も本来は
したくないもので、そこには Lose-Loseの関係しか
ない様に思います。
それでもマイナスな退職は起きてしまいます。
ここを会社の努力により、出来る限り減らしていこう
と強く思っています。
紐解いていきましょう。
1.クレームストレスを減らす(品質を上げる)
これは、今月からスタートしている14期の最重要課題です。
僕たちの製品は海外生産品が多く、やはり細やかな
部分はQCがチェックしていないと問題が起こりやす
いですし、輸送距離の観点からも破損が起こりやすく
お客様にご迷惑をお掛けすることがあります。
製品不良・破損が発生すると、お客様に多大なご迷惑
をお掛けしてしまい、そのお怒りをいただくサポート
部署がつらい思いをするのは、必然です。
小売りをやっている限りは、クレームを0にする事は
不可能なのですが、それを出来る限り0に近づける
努力をしなくてはなりません。
これまでも「分かってはいるものの、費用面や人員
面から見ても、どうしてもやり切れない」という
ジレンマに立たされていました。
ただ、ブランドとしても、CS/ESを考えても、品質
を向上させ、クレームを大幅に減らしていくことは、
至上命題です。
会社としてもようやく前述の問題をクリアできる体質
になってきたことで、14期は品質向上を一番に置いて
計画を立てています。
お客様にご迷惑をかける機会を減らし、それによって
お叱りをいただく機会を減らしていくことで、現状
のマイナスな退職者を出さない取り組みをスタート
させます。
2.待遇を改善する
待遇の改善も行っていこうと思っています。
給与面については、決算賞与の支給を2年連続で
実施でき、頑張った分が直接的に配当として還元
する仕組みにしました。
また、月給についても今期からはベースを改善し、
業界水準と比較しても、負けないような体系に
変えていく予定です。
また、オフィス環境をインテリアの会社らしく、再
リノベーションを実施し、スタジオ、食堂、ワーク
スペース、デスク、チェアなど、より豊かな環境で
働けるように投資をしていきます。
さらには、従来は出張などはバイヤーなど限られた
部署のメンバーだけが参加していましたが、直近から
は、サポートチームや制作チーム、在庫チームなど
さまざまな部署から参加をしています。
これは、一定の環境内で、決まった仕事だけをして
いたのでは、働く世界が広がらず、成長イメージが
描きづらいため、会社全体のやっていることに共感
を得づらいだろうという観点からです。
インテリアの展示会は「仕入れたい製品を見つける」
という視点から「一緒に帯同し、いろんな見解を僕
自らが話し、会社がやろうとしている事に参加し、
一緒に向かうため」という視点に切り替えました。
このように様々な待遇を改善し、成長の機会を与える
ことで、マイナスな退職を無くしていこうと思います。
3.コミュニケーションを高める
コミュニケーションは、小さなコミュニティだけで
完結してしまったり、そもそも不足したりすると、
本当に良いことがありません。
会社内では、いろんな部署の、いろんな年齢の、
いろんな考え方をもった人とコミュニケーションを
取ることで、新しい気づきがあり、安心があり、
発想と成長のきっかけになると思います。
現代では「呑みにケーション」は悪という風潮があり
ますから、僕でもそうそう新しいメンバーを誘うの
には、二の足を踏みます。
みんなを見ていても、必然的に恒例のメンバーと、
いつものように呑むということが増えています。
思い起こせば、僕が20代の頃は、上司の接待がてら
の飲み会は、しょっちゅうありました。
今となればあまり褒められたことではないかもしれ
ないのですが、半ば強制的にでも会社の人と数時間
を共に食事するというのは、人との仲を取り持つ
うえでは大事なことだったと思います。
だからこそ、半ば強制的にでもコミュニケーション
が発生する機会を社内に作ろうと思っています。
但し、昔の様にはいきませんから、できれば、お昼
ごはんを月1回くらいはみんなで共にする「社食」
のようなものを開催しようと考えています。
前述のオフィスのリノベーションは、この発想からの
動きでもあります。
お昼ご飯をみんなで一緒に囲めば、必然的に会話が
生まれ、「この人こういう人なんだ!」なんていう
きっかけになり、そのきっかけが後々に悩んだ時に
相談できるような相手に発展することもあるでしょう。
素敵な食堂で、みんなが美味しい食事を囲む。
良いコミュニケーションが生まれるのが楽しみです。
ちなみに、夜は間接照明を灯して「BAR」仕様に
して、たまの金曜日に有志で飲んでもらえれば、
帰りがけに「じゃあ、一杯だけ参加しようかな」み
たいな事もきっとあると思っています。
こんな風にコミュニケーションを高めることで、
マイナスな退職を考えたときに、いろんな人に
相談して、解決できるようになればいいなと思います。
4.物理的距離を取り払う
これはもうスタートしていて、結婚や出産などの
タイミングで地元にUターンして、物理的に会社に
来られないことに起因する退職を防ぐ取り組みです。
リモートワークで働くことで、遠方にいながらも、
会社の力になってくれる仕組みをスタートしています。
女性の多い職場ですので、今後もこのスタイルの
スタッフが増えていくことが予想されます。
せっかく会社のカルチャーを理解し、ブランドを好き
でいてくれて、能力もあるメンバーが会社を去るのは
お互いにとって良いことがありません。
良い仕組みをスタートできていると思います。
兼任と、育成と、継続と
5.最適な職種への異動も考える
マイナスな退職の理由の中には、今の部署の仕事が
自分の将来のビジョンとマッチしないというものも
あります。
うちの会社のことを気に入って、面接を受けて、
入社して、一生懸命に頑張ってきて。
そうして働く中でインテリアをもっと好きになって、
会社にはいろんな役割があることを知って、自分の
やりたいことも少しずつ出来てきて。
「自分が将来やっていきたい仕事のヴィジョンが少し
ずつ見えてきた!」という時に、自分の今の職種では
ないことに気づいて転職を考える...... なんてことは
非常によくあることです。
僕の知っている限りでも、この理由の退職はありました。
そうした時に、できれば会社の外に出るのではなく、
会社の中の別の部署に移って、ヴィジョンを実現して
ほしいと思っています。
会社の人も知っているし、会社のカルチャーも理解
している。それは、実は職種ごとの専門スキルを
持っていることよりも、とても大事なことです。
全部を精算して、他の会社で一からやり直すのも
良いのですが、それは大変なチャレンジです。
就職なんていうのは、会社自体や、社風、面接官は
良くても、直属の上司と合わなくて...... なんてのは
本当によくある話です。
まさにイチかバチかの賭けの側面もあるのです。
それならば、会社のことを分かっているだけでも、
半分くらいは賭けの危険度は下がります。
会社としても、時間をかけて会社のことを知って
くれている人材は貴重です。
なので、お互いに Win-Winの関係でもあります。
会社自体に絶望して辞めるのでないならば、お互い
に良い関係を築ける部署異動。いいと思います。
そんな道も提示して、マイナスな退職を減らして
いきたいと思います。
会社自体が成長し、経験という報酬を与える
会社が社員に与えられる報酬は「お金」と「経験」
があります。
給与としての「お金」はもちろんわかりやすい報酬
ですが「経験」という報酬は、なかなか同軸では
語られづらい報酬です。
例えば友達と「俺の給料は〇〇万円だ」という会話を
していたとしたら、「俺より高いな、安いな」という
のはわかりやすく算出できます。
一般的には高い給料で働いている人が「いいなー」と
いうリアクションをその場の友達からもらえること
でしょう。
ただ、僕はまったくそう思いません。
僕は若いころは給料にはまったく頓着がなく、
自分の給料があの頃いくらだったか、などまったく
覚えていませんし、23歳くらいからお店のスタッフ
に奢ってばかりいました(ちなみに今もまったく給料
にも、自分のお金にも頓着がありません)。
大学を出て入社したライフスタイルショップの店頭
仕事の中では、日々の店頭に立つ中で、店の売上を
上げたい、お店を素敵にしたい、楽しく働きたい、
上司に褒められたい、お客様に分かりやすい説明を
したい...... などなど、ものすごく近視眼的な発想
で、目の前の仕事を楽しんでいました。
その後に入ったWebの制作会社でも、ディレクター
として知識を付けたい、クライアントの社長に良い
サイトを作ってあげたい、自分でサイトを作りたい、
実力を付けたい、出来ることを増やしたい...... と
ここでもかなり近視眼的に働いてきました。
そして、その後28歳で立ち上げた今の会社は、最初
のライフスタイルショップで学んだ小売りやインテ
リアの基礎と、Webの制作会社で学んだIT技術の基礎
を掛け算して、作り上げてきたものです。
それぞれの勤務年数は、5年と1年2か月。
どちらも素人に毛が生えた程度の能力であったと
思いますが、どちらもとても貴重な「経験」として、
今も礎となる基礎能力になっています。
そして、その土台を基に、リセノというお店をもっと
良くしたいという思いで、今も変わらず第一線で
働き、14年目に突入しています。
つまりは、お金の報酬はさておき、その場所で経験
を得るということは、貴重な報酬であり、それは
複利の様に後からどんどんと効いてきます。
会社が与えられる報酬で、最も大事なものは「お金」
ではなく「経験」だと、自身の経験から確信しています。
そのためには、会社はより大きな売上をつくり、
より人数を増やし、ベテランメンバーにも更なる
エキサイティングな経験を与えつづけられるもので
なくてはならないと思います。
ドラクエのように、経験値を貯めて、レベルを上げて
出来る事、行ける場所が増えるに応じて、挑むべき
相手もより強く、より大きく、よりエキサイティング
になっていかないと、楽しみ続ける場所として存在
し続けられないのです。
会社自体が成長し、経験という報酬を与え続ける事で
マイナスな退職を起こさないようにしていきたいと
思います。
会社の成長には、人の力が欠かせないのです。
そんなことで、マイナスな退職のない会社を目指す
べく、決意表明を紐解いてきました。
独立や出産などの素敵な未来への退職は、仲間が
抜ける大変さはありながらも、歓迎すべきものです。
ただ、マイナスな退職は、会社にとっても、個人に
とっても Lose-Loseの関係で、歓迎すべきものでは
ないと思います。
もちろん個人個人いろんな考え方がありますから、
強制すべきことはありません。自分の人生ですから、
自分の生きたい様にするのが一番です。
会社のトップとしては、個人自体も歓迎したくない
退職を出来る限り発生させない事が、出来る事の
すべてだと考えています。
そのために出来ることは、なるべく多くしていこう
と思います。
また、スタッフの退職を減らし、長期ヴィジョンを
共有することで、こんな風に会社全体を見渡し、動か
していける人を増やし、僕が関わらなくてもどんどん
改善が進むような会社にしていきたいなとも思います。
では、また来月に。