人事制度の刷新と目的
2024年 01月18日 カテゴリー:リセノ
こんにちは。やまもとです。
Flavorでは、17期目にして人事制度を刷新しました。
求めるビジョンに基づき、同じ価値観と使命感を持つ
メンバーが、個々の特性を生かし、磨き、高いやり
がいをもって働ける様な制度にリニューアルしました。
今月のブログでは、新たな人事制度について、要点を
まとめていきます。
※過去のエントリーも合わせてご覧ください。
人事制度の刷新で実現したい2つのこと
人事制度の刷新の目的
今回の人事制度の刷新にあたって、大きく3つの特徴
的な想いがあります。
- MVVを設定し、活動の基盤とする
- 個人と会社が、役割と成長を共有する
- 評価を衡平化(こうへいか)する
ひとつずつ説明していきましょう。
人事制度刷新の目的 1.
MVVを設定し、活動の基盤とする
人事制度の根幹となるのは、MVV(ミッション・ビ
ジョン・バリュー)を行動指針の基盤とし、メンバー
が一体となって実現を目指すことを宣言し、全員で
共有することです。
会社というのは、さまざまな考えを持つ人たちが
協力して事業活動を行う場所です。
当然のことながら、個々人はさまざまな考えを持ち、
それぞれの価値観を持っています。
Flavorは、事業をシンプルに表現すると、
「家具・インテリアの企画・製造・小売業」
という事業になります。
つまり、家具を作って、売る商売です。
これを会社に集ったメンバーで行うわけです。
ただ、多くのメンバーやりがいを持って協力し、とも
に助け合い、成長し、より良く働き続けるためには
「家具を作って、売る」だけでは、目的やゴールが
漠然としていて、志を持って仕事に向き合う事ができ
ません。
そのためには「家具を作って、売る」は、はたして
何のためにするのか、確かな目標が必要です。
そのために、まずはやるべきこと、目指すべき道と
して、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を
設定し、社内の目指すべきゴールとして宣言しました。
リセノの「ミッション・ビジョン・バリュー」
つまり、Flavorの仕事は、
「家具を作って、売る」でありながら、そうではありません。
Flavorの仕事は、
「インテリアの楽しさを、もっとたくさんの人に。」
伝えるために活動することであり、その原資としての
商業活動になるのが「家具を作って、売る」という
ことです。
「家具を作って、売る」ことで、人が幸せを感じられ
る助けをするのが仕事なのです。
そして、粒度を下げると、インテリアの楽しさを広げ
るために僕たちが選択する道は、豪華で贅沢なインテ
リアを提供することではなく、ごくごく普通の暮らし
をしている人たちの、ふつうのお家を美しくする為の
手助けをすることです。
これこそが僕たちの選んでいる道だということを、
社内外通じてしっかりと掲げるべく、ビジョンとして
明言しています。
そして、また、そのような想いを実現するためには、
自分たちがこうでなくてはならないよね、という価値
観もバリューとして、明言しています。
自らを律し、人のために活動し、仲間と切磋琢磨しな
がら社会を良くする活動をしていく。
その結果として、会社も、個人も、社会も良くなっていく。
こんな未来のために、僕たちは活動することを、
まず社内外の共通認識として宣言しました。
人事制度刷新の目的 2.
個人と会社が、役割と成長を共有する
さて、MVVを実現するためには、しっかりと個人が
活躍できる環境を用意する事が、会社としての責任
です。
これまでの16年間は、メンバーが少なかったことも
あり、しっかりとした等級制度やキャリアパスはなく、
それぞれの状況や成果を都度鑑みながら、その後の
教育・役割・昇進などを決めていました。
ただ、人数も増えてきたこと、また今後の4年ほどで
100人体制まで成長させるという中期経営計画を掲げ
たのをきっかけに、より個人が求められる役割や自己
成長の方向を認識し、自分自身の成長を自分自身で決
め、会社と共有することでバックアップを受けながら
相互に成長を促進していく必要があると考えています。
そのために、新たに
・コース
・グレード
という2つを掛け合わせた「等級制度」を設計しました。
これを作ったことにより、メンバーひとりひとりが、
・自分はどのように成長していきたいのか
・自分がいまやるべき役割は何なのか
・どうすれば評価されるのか
がしっかりと会社と意思疎通ができるようになり、
個人の選択・希望と、会社の評価のすり合わせを行い
ながら、教育プランやキャリアパスが決められるよう
になります。
詳しく説明していきましょう。
等級制度の横軸:「3つ + 1」のコース
まずは、コース概念について。
コースは「3つ + 1」に分かれています。
メンバーは、自分の成長の方向をどう向けたいかを
考えて、会社に意思表示します。
ゼネラリストコース
ゼネラリストコースは、将来の経営の中核的立場での
活躍を目指すコースです。
1つの職種だけをやり続けるのではなく、社内の様々
な部署を数年単位で渡り歩きながら、事業全体を見
渡せる能力を培っていきます。
例えば、
1年目:店舗勤務
↓
3年目:カスタマーサポート
↓
5年目:Web制作
↓
7年目:商品部
というようなイメージです。
さまざまな部署を知ることで、会社全体の活動を把握
し、将来はマネジメントコースへ進むことを想定して
います。
会社というのは、広い視野が求められます。
サプライチェーンや、バリューチェーンの川上から
川下まで広く携わることで、より柔軟かつ精度の高い
マネジメントが出来る様になります。
スペシャリストコース
スペシャリストコースは、1つの部署で、専門性の高
い(社内特殊技能)を磨き続けるコースです。
自分に適した仕事を通して会社に貢献していきます。
イメージは
1年目:店舗勤務
↓
3年目:店長
↓
7年目:エリアマネージャー
1年目:撮影アシスタント
↓
3年目:撮影カメラマン
↓
5年目:Web制作
↓
7年目:撮影カメラマン
このように、1つの部署での技能を高めていきます。
完全に1つの職種というよりは、店舗、Web制作、商
品部、カスタマーサポートなど、部署内の周辺業務内
において、異動はあります。
マネジメントを目指さず、プレイヤーとして一流に
なることを目指すことになります。
野球チームでいうところの「エース」「4番打者」の役割です。
プロフェッショナルコース
プロフェッショナルコースは、市場において高く評価
され、社内に希少な専門性(市場流通技能)を発揮す
るコースです。
このコースへの配属は、他社での高い経験値が必要です。
例としては、
他社:商品開発
↓
商品開発
他社:システムエンジニア
↓
システムエンジニア
というかたちです。
入社時から高い成果を発揮するコースです。
現在は、社内に1人だけですが、そのメンバーは、新
たな事業の核となり、会社の事業変革の中心となって
います。
野球チームでいうところの「助っ人」の役割です。
マネジメントコース
マネジメントコースは、組織をマネジメントすること
で、大きな価値発揮するコースです。
このコースは、ゼネラリストコースにて評価を受けた
のちに、昇格するコースです。
マネジメントコースは、一般企業での課長・部長と
いったフェーズにあたります。
野球チームでいうところの「キャプテン」の役割です。
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このように「3つ + 1」のコースがあります。
自分がどのように働きたいか。
どう会社や社会に貢献したいか。
将来どのように成長したいか。
によって、自分自身で成長をハンドリングしていく
ことを基本思想にしています。
等級制度の縦軸:5つのグレード
コースと掛け合わせる形で存在するのが「グレード」です。
5つのグレードがありますが、ゼネラリスト・スペシ
ャリストのグレードは3グレードまでです。
4・5グレードは、マネジメント・プロフェッショナル
の2つのみが存在するグレードです。
この「グレード」という指針によって、求められる
役割が大きく変わります。
一般の入社の多くはグレード1からスタートし、業務
を通じて成長していきながら、年2回の査定を通じて
グレードを上げていくというイメージです。
他者での経験値によっては、高いグレードからスター
とすることもあります。
順に説明していきましょう。
グレード1:真似る
グレード1は、初歩の役割です。
先輩が行っている業務について、真似る=つまり、
同じ業務が実行できることを求めるグレードです。
発注チームならば、滞りなく発注ができる。
応対チームならば、お客様にしっかりご案内ができる。
撮影チームならば、撮影のアシスタントができる。
このように、先輩に倣いながら、求められる技能を
実行していくのが、グレード1です。
グレード2:仕立てる
グレード2は、実行の役割です。
グレード1は「先輩から真似る」というフェーズでし
たが、グレード2はつまりはその先輩です。
部署として必要な業務をしっかりと遂行できること
が求められます。
業務に必要なことを理解し、お客様により良いかたち
で提供していき、インテリアの楽しさを広げる土台を
作っていくことが重要なグレードです。
グレード3:仕掛ける
グレード3は、改善を仕掛けることが役割です。
既存のやり方やルールに則って職務を遂行していく
のがグレード2までの役割でしたが、グレード3では
新しいやり方を創造したり、既存のルールをスクラ
ップ&ビルドして、より良い価値を生み出したりす
ることが求められます。
ベンチャー企業であるFlavorは、これまでも創業当初
からさまざまに独自のある取り組みをしてきましたが、
他社との差別化ポイントは、まさに既存のやり方や
ルールを打ち破る活動でした。
このグレードでは、創造的な活動をどれだけ実行で
きたかが評価に直結しますので、既存のやり方に沿
って忠実に実行するだけでは、低い査定となります。
グレード4・5:見立てる
このグレードの役割は、高い視座を持ち、全体を俯瞰
的に見渡しながら、独自の方針を見立てることです。
事業の将来を想像し、ビジョンを描き、そこに向かう
にはどうすれば良いかを思案し、見立てる。
グレード3よりもさらに多く、広い責任範囲になりま
すので、広い視野と知識や、深い専門性が必要になっ
てきます。
特にマネジメントコースは、この見立ての能力が低い
と、メンバーはやるべきことが目の前に集中してし
まい、高い視座を得る事ができません。
僕たちのミッションは、
「インテリアの楽しさを、もっとたくさんの人に。」
広げることであり、
「家具を作って、売る」
ことではない。 というのも、見立てです。
こういう観点を持ち、先頭にたってメンバーを引っ張
っていくのが、このグレードです。
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この
「3つ+1」のコース × 5つのグレード
が、新たな等級制度です。
この仕組みを基にメンバーが自分の役割を理解し、
日々の行動を意識することで、会社はより強く、より
スムーズに、よりしなやかに活動できると考えています。
人事制度刷新の目的 3.
評価を衡平化(こうへいか)する
人事制度刷新の目的の3つ目は、評価の衡平化を実現
することです。
※衡平(こうへい)=つりあいのとれていること
を指します。
これまでのFlavorでは、メンバーの社歴や前歴、能力、
状況などのある意味漠然とした期待値と、それに対す
る成果を基に、経営陣もしくは部署長などにより、教
育プランや評価を決めてきていました。
人数が多くないこともあり、ひとりひとりを見ながら
評価をしていくというスタイルです。
ただ、そうすると、
・この人に期待する役割に対して、成果はどうか。
・その成果に対して、昇給・賞与・昇進はどうするか。
・それは本当に衡平か。
というところの判断がしづらいところがありました。
また、社長から見ると、一生懸命に頑張ってくれて
いるメンバーは可愛く、ありがたいもので、みんな
の給与をある程度公平に保とうとするバイアスも
かかりがちです。
そうすると、大きな成果を出している場合において、
人事評価やポジションは上がり、会社やメンバーから
の賞賛・尊敬は受けるものの、昇給・賞与は大きく上
がらず、逆にそこそこの頑張りであっても、そこそこ
は、昇給・賞与が上がるという感じでした。
これは、ある意味「公平」ではあるもの「衡平」では
ないということが分かりました。
ですから、新制度では、個々に求められる役割を
等級制度により、会社・個人ともにしっかりと理解
し、その役割に対して高い成果を出した場合には、
給与テーブルも上がり、賞与係数も上がる。
逆に、役割に対して成果が出せなかった場合には、
給与テーブルも変わらず(ときには下がり)、賞与
も下がる(ときには出ない)という、はっきりと
評価する仕組みにしました。
これにより、成果と評価が一致していきます。
もちろん、高い成果=期待役割に応じて変化するので、
・新しい価値を生み出し、全体を動かすことを求められる人
・日々の業務をミスなく行うことを求められる人
とは、役割が異なり、等級が異なります。
前述のとおり、等級が異なると、求められる役割は
「真似る、仕立てる、仕掛ける、見立てる」と変化
しますので「求められた役割に対しての成果」という
納得の評価が下せるわけです。
例:
グレード3のメンバーが「仕掛ける」行動をせずに、1年を通して「完璧な仕立て」をしたとしても、低評価
それらを等級制度によって自認し、求められる役割
をもって、会社・社会・メンバーに貢献することが
大切なのです。
特徴的な制度
さて、最後に特徴的な制度についても言及しておきます。
決算賞与
Flavorでは、1年間の業績に応じて、営業利益の3%を
スタッフで山分けするという制度があります。
数年前からはじめた制度で、おかげさまで多少はある
もののスタートからは1年も欠かすことなく支給をし
ています。
営業利益は、メンバー全員で積み上げてきたものです
から、その一部を株価の配当のようなイメージで、
全員で分けあおうという取り組みです。
制度をスタートしてからは毎年支給をしており、
スタッフのポジションや年齢、肩書きに関わらず、
全員で均等に配分しています。
年2回の定期賞与と加えて、第3の賞与という立ち位置です。
出役手当
こちらは、新人事制度からスタートした新しい手当です。
僕たちが運営する「リセノ」では、よりリアルな表現
や感想を得るために、メンバーの自宅での撮影写真も
多く取り入れています。
専用の撮影スタジオは持っていますが、それよりも
より分かりやすく、身近な表現をすることによって、
お客様にイメージしてもらいやすいようにしています。
これまでは、メンバーの好意とやりがいによって、
自宅撮影をしてくれていましたが、やはり準備する
手間があったり、撮影するのに追加で食事やお花を
用意したりと、いろいろと実質的な問題も出てくる
ものです。
ですから、自宅を公開してくれているメンバーについ
て、感謝と実費の面も込めて「出役手当」という制度
を作りました。
月最高3万円の補助が出る制度で、自宅を素敵に整え
るのにも使える、インテリアの会社らしい制度になっ
ています。
人事制度刷新と目的
さて、最後のまとめです。
本エントリーでは、Flavorの新たな人事制度刷新の
目的と、概要について書いてきました。
日本のインテリアレベルを向上することを目的として、
インテリアの楽しさを、もっとたくさんの人たちに
広げたいというのは、創業当初からの想いです。
そして、そのミッションを明文化し、そこに向けて
メンバー全員が迷いなくすすめるように宣言しました。
また、このミッションを達成することは簡単ではなく、
ゴールの見えない途方もない旅でもあります。
そこに向かうためには、きれいごとだけではなく、
メンバー全員がその未来を信じ、そのために目の前
のひとりひとりのお客様と向き合い、成功を助け、
時にはメンバー同士でぶつかり合いながらも、高い
理想を実現していく覚悟が必要です。
そのためには、組織としての仕組みをしっかりと
設計し、より「自由と責任」を胸に、個々が成果を
求める環境が必要です。
今回の人事制度の刷新には、優秀な外部パートナー
様に1年以上に渡って伴走いただき、今後も長きに
渡って伴走いただきます。
いまいるメンバーはもちろんのこと、未来にジョイン
するメンバーまで含めて、個人個人が活躍するための
良い土台となる制度になったと思います。
ぜひ、本気で日本のインテリアを良くしていきたい、
心身ともにひとりでも多くの人にリラックスをもたら
せるお部屋作りをアシストしたい、社会に大きな変化
をもたらすチャレンジをしたい、という方は、仲間に
加わっていただければ嬉しいなと思います。
僕自身も、この制度がうまく機能し、メンバーが今
以上に胸を張って、Flavorという会社を活かし、同時
に自己実現ができるように、誰よりも努力を重ねて
いこうと思います。
日々の暮らしが大変でも、少しでも癒しを感じられる
「生活の香りづけ」ができるように。
社名の由来にもなった初心を忘れず、より多くの深い
幸せを祈って、これからも頑張ります。